AF Zoom Nikkor 80-200mm F4.5-5.6D

このレンズは私のお気に入りである。  

200mmまでの望遠ズームレンズとしては、極めてコンパクトかつ軽量なレンズであり、手のひらサイズである。

当時、エントリーユーザー向けに販売された廉価版望遠ズームレンズであり、作りは安っぽい。中のレンズ以外はプラスチックの塊である。ピントリングは鏡筒の先端におまけ程度に設けられている。

もっともその性能には侮れないものがある。たとえばAF Zoom Nikkor 70-210mm F4-5.6Dとの比較では、本レンズの方が圧倒的に写りがよい。開放絞りにおける解像感は、AI Zoom Nikkor 80-200mm F4sと互角であった。


AF Zoom Nikkor 80-200mm F4.5-5.6Dの良い点を挙げると次の通り。
・ 小型超軽量設計。
・ 絞り開放から高解像かつ抜けのよい写り。レンズの枚数が少ないためか、抜けのよい高コントラストの画が得られる。

・ 画面周辺の画質も悪くない。

・ アタッチメントのサイズが52mmであり、フィルターを他のレンズと共用できる。


このレンズを使うにあたり、若干の留意点があるとすれば次の通り。
・ 廉価版望遠レンズなので仕方ないが、絞り開放でf4.5と暗い。もっともデジタルカメラではISO1600くらいまで常用できるので、さほど問題とならない。
・ このレンズには前期モデルと後期モデルがある。前期モデルは設計不良があり、製造から時間が経つと内部のフレキシブル配線と基板が、固定用のプレートから剥離し、ズーム機構に干渉する。その現象が起きたレンズは、ズームリングを回して望遠側にレンズを伸ばそうとすると、80mmから少し回したところで引っかかりを生じる様になる。配線と基板の剥離がさらに進行すると、ズーム操作ができなくなる。無理にズーム操作をすると、配線と基板を破壊することになる。この不具合はおそらく対策部品に交換する以外に修理できないが、CPU配線を修理すると、確実に中古価格よりも高くつく。よって中古で入手するときは、ズーム操作なや引っ掛かりがないことを確認した上で購入する必要がある。

 なお、このレンズは、販売開始からしばらくは日本で、その後タイで生産されたようである。日本製のものは製造番号が古くズーム操作の引っ掛かりが多いように思われる。製造番号の新しいもの(主にタイ生産)を狙った方がハズレを引く可能性は低いと思われる。



上記の通り、このレンズは小型超軽量なので、旅行に持っていくのに最適である。

200mmまでの望遠レンズを使う回数は、旅先で必ずしも多くなかったりするが、このレンズならば気軽に持っていくことができる。

そして光量が十分ならば、チープな作りからは想像できない良好な画を得ることができる。

高い光学性能を有するにもかかわらず、ほとんど注目されることのない不憫なレンズである。



【スペック】
レンズ構成: 8群10枚
最小絞り: 22
最短撮影距離: 1.5m
フィルターサイズ: 52mm
最大径×全長: 69.5mm×71mm
重量: 330g
フード: HR-1(別売)


作例1 焦点距離200mm、絞りf6.3
作例2 焦点距離200mm、絞りf11
作例4 焦点距離165mm、絞りf5.6

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