AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR

ニコンは35ミリ判(いわゆるフルサイズ:FX)における看板レンズとして24-120mmズームレンズをラインナップしている。このレンズはそのDXフォーマット版である(フルサイズ換算24-127.5mm)。発売当時は人気があったようで中古品が豊富に流通している。

このAF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VRは既に手放した。そのズーム範囲やコンパクトさ、手ぶれ補正機能(VR)は便利であり、旅行や日常の記録に便利ではある。しかし、DX18-70mmや後継のDX16-80mmの方が総合的な画質が優れていると感じており、思ったよりこのレンズを持ち出す頻度は低かった。

AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VRの良い点を挙げると次のとおり。

・ ズーム範囲が広く、日常における焦点距離をカバーしている。

・ ズームリングを回転させたときの感触がよく(18-70や16-80に比べると)造りがよいと感じる。操作していて高級感を感じる。

・ 鏡筒がスリムで持ち運びしやすい、さまざま大きさのカメラにサイズ感が合う。フードも大きくなく収納性がよい。

・ 広角端においては解像度、コントラスト共に良好に感じる。

・ 近景において画質がよい。

・ 中古品が手頃な価格で流通しており、入手しやすい。

このレンズを使っていて気になる点は次の通り。

・ 中間焦点距離(24mm、35mmなど)においては画面中心部以外の画質はあまり良くない。絞りを絞っても改善しない。集合写真などに向いていない。

・ 望遠端(85mm)の絞り開放において解像度は高くなく、1段程度絞りたくなる。

・ 中景~遠景のとき収差の影響で後ぼけがあまり綺麗とはいえない。

このレンズは広角側を多用する人、絞りを絞り込んで撮影する人(例えば風景、記録撮影用途)に向いている。

望遠域はもともと暗い上、開放の画質が若干甘いため、絞り開放では使いにくい。

AF速度は遅くはないが、早くもない(体感的には平均0.5秒程度)。

広角と望遠とで絞りに1.5段の差(3.5~5.6)があり、かつ広角端の開放画質がよい一方で望遠端の開放画質が使いにくいなど、焦点距離によって開放画質に差がある。絞り優先オートで運用しにくい。焦点距離を変えるごとに絞りを調整する必要があるのがやや面倒に感じられた。


【スペック】

レンズ構成: 11群17枚(非球面レンズ3枚、EDレンズ2枚)

最小絞り: F22-36

最短撮影距離: 0.38m(ズーム全域)

フィルターサイズ: 67mm

最大径×全長: 約72mm×85mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)

重量: 約485g

フード: HB-39

希望小売価格(税別): ¥102,500(終売時)

発売時期: 2008年2月


作例1 焦点距離16mm、絞りf4


作例2 焦点距離31mm、絞りf5.6


作例31 焦点距離55mm、絞りf5.3

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