Ai Nikkor 35mm F2S
このレンズは1981年に販売された焦点距離35mmでは中間グレードに位置するレンズ(他にF1.4とF2.8がラインアップされていた。当時の価格39,000円(消費税導入前)。)。
このAi Nikkor 35mm F2Sは既に手放した。AI AF Nikkor 35mm f/2Dと比べたところ、そちらの方が総合的にみて若干優れていると感じたのが理由である。
あればあったで便利なのは間違いなく、保管場所に余裕があれば持ち続けてもよかったレンズである。
Ai Nikkor 35mm F2Sの良い点を挙げると次のとおり。
・ 絞り開放からシャープかつコントラストの高い描写。
・ この年代の開放F2のレンズにしては開放絞りにおけるフレアが少ない。
・ MFのピント合わせがしやすい。
・ AI AF Nikkor 35mm f/2Dに比べるとボケの量が若干多く見え、なだらか。
このレンズを使っていて気になる点は次の通り。
・ 絞り開放では中間調が明るめに描写されるので適正露出でも人物の顔が明るく写りすぎと感じるときがある。ちょうど人物の肌くらいのところでコントラストが圧縮され、肌の質感、階調が出ない。
・ 周辺部にあるハイライトのボケが三角形になる。
後継のAI AF Nikkor 35mm f/2Dとの違い。
・本レンズは絞り開放からフレアなく高コントラストであるが、後継のAI AF Nikkor 35mm f/2Dは開放では若干のフレアがあり、ややしゃきっとしない。
・解像感は見方によっては同等。AI AF Nikkor 35mm f/2Dは線は細く一見するとシャープではないが、よくみると細かな解像をしている。
・本レンズは周辺部の収差が大きくハイライトのボケが三角形になるが、AI AF Nikkor 35mm f/2Dは丸くなる。
このレンズは風景写真やスナップなど、絞り開放からシャープ感を求める写真に向いている。絞り開放からコントラストが高く、中間調が明るく表現されるため、メリハリが効いた見栄えのする写真になる。
被写体が人物の場合は、顔が明るく写り気味となり、階調が平準化されるため、質感や立体感が乏しくなる。
夜景については、画面周辺の収差が大きく、点光源が三角になるため、絞り開放付近では使いにくい。
後継のAI AF Nikkor 35mm f/2Dと大きな性能の差はなく、MFでの撮影が主なら本レンズ、AFでの撮影が主ならAI AF Nikkor 35mm f/2Dということでよいと思う。
【スペック】
レンズ構成: 6群8枚(非球面レンズ0枚、EDレンズ0枚)
最小絞り: F22
最短撮影距離: 0.3m
フィルターサイズ: 52mm
最大径×全長: 約63mm×51.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)
重量: 約280g
フード: HN-3
希望小売価格(税別): ¥46,000(終売時)
発売時期: 1981年9月
ニッコール千夜一夜物語 第八十四夜
https://nij.nikon.com/enjoy/life/historynikkor/0084/index.html?srsltid=AfmBOopevIHkcZA0S0wCUHWLsQ7QxXv1hVER1HMY6zRnx_UooYmW3AWm
作例1 焦点距離35mm、絞りf2 (周辺部のハイライトのボケが三角形になっている)
[参考] AI AF Nikkor 35mm f/2D、絞りf2
作例2 焦点距離35mm、絞りf2
作例3 焦点距離35mm、絞りf8
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