AI Zoom Nikkor 80-200mm F4s

当レンズは1980年代のMFフイルムカメラ全盛期に発売された、上級グレードの望遠ズームレンズである。
当時10万5000円した高級レンズであったが、ニコンの代表的な望遠ズームとして数多く出荷された。
EDレンズや非球面レンズは使用されていないが、非常に高性能なレンズである。

このレンズはマニュアルフォーカスレンズのうち、AIニッコールのいわゆるsタイプのレンズである。それまでのAIニッコールでは絞り連動レバーの作動量と絞りの開度が比例関係になかったが、sタイプは開度が比例するように改良したものである。これによりボディ側から絞り開度をコントロール可能としている(プログラムモードを備えることが可能となった。)。


AI Zoom Nikkor 80-200mm F4sの良い点を挙げると次の通り。
・ 高性能である。絞り開放から、かなりの高解像度である。抜けもよい。
・ ズーム全域にわたり開放絞りF4の明るさを確保している。
・ 直進ズームの操作性は滑らかである。
・ 歪曲収差が小さい。
・ ズーミングにより長さが変わらない。
・ 200mmとしては最短撮影距離が近い方である。

・ 重さは810グラムと少々重めであるが、凹凸の少ない円筒状なので持ち運びしやすい。


このレンズを使う際の留意点は次の通り。
・ 前期モデルと後期モデルとがあり、レンズのコーティングが異なる。色味についても若干異なり、前期モデルは色温度が若干低め、後期モデルは色温度が高めの印象がある。
・ 独特の色再現、階調表現になる。色温度が若干高めで黄色く写り、中間調が明るめに表現される。明るめの領域の質感や立体感が出にくい(特に後期モデルにおいて。)。日本人の肌、草木の葉などが自然な感じに写らない印象。


このレンズは、解像度の高い望遠ズームレンズを求める人に向いている。どの焦点距離でも画面の隅まで解像度は申し分ない。
また、使っていて片ボケなどの不具合を感じたことはなく、画面の隅まできちんと写る。
このレンズは風景写真に向いている。


【スペック】
レンズ構成: 9群13枚
最小絞り: 32
最短撮影距離: 1.2m
フィルターサイズ: 62mm
最大径×全長: 73mm×154mm(162mm)
重量: 810g
フード: HN-23(別売)
希望小売価格(税別): ¥10万5000円 ※1986.6.10時点


作例1 焦点距離200mm、絞りf5.6
作例2 焦点距離200mm、絞りf4
作例3 焦点距離200mm、絞りf4
作例4 焦点距離80mm、絞りf5.6

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