Ai AF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8s
このAi AF ニッコール 35-70mm F2.8sはFマウントがAF化された頃の高級レンズである。
評判通りこの時代の名レンズである。
① Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8s
③ Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8D → レンズ構成に変更はなく、距離エンコーダが内蔵された。レンズのコーティングが変更されている。
冒頭の写真に写っているのは①である。
この記事の作例には②で撮影した写真も含まれる。
このレンズは35-70mmという地味なスペックのズームレンズであるが、自然と持ち出し率が高くなるレンズである。その理由は、
第一に、コントラストが特に強調されることなく、自然なトーン(階調)がよく出る。中間調が豊富で暗部もしっかり描写される。
第二に、解像が細かい(線が細い)ので素材や肌の表面のディテール描写に優れる。輪郭の強調によることなく、自然に輪郭が描き出される。
第三に、アウトフォーカス部分へのボケがなだらかであり、合焦部分との関係が視覚的に良好である。
以上の性能によって、被写体像が浮き出るような三次元的な立体感が感じられる。
なお、開放絞りf2.8でも、細かく解像しているものの、わずかにソフトフォーカス気味になる。f3.5くらいから実用的にシャープになる。
Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8sの良い点を挙げると次のとおり。
・ 上記のとおり自然な立体感のある描写性能。
・ 望遠端も含めて開放絞りがf2.8であり、室内など光量不足の場面でも使い勝手がよい。
・ 絞りf2.8ではわずかにソフトフォーカスになるが、ポートレートでは、肌が滑らかに描写され、よい雰囲気となる。
・ ニコンのf2.8通し標準ズームレンズの中ではコンパクトである。
・ 総金属製であり頑丈である。高級感も感じられる。
このレンズの留意点は次のとおり。
・ 中古品として流通しているレンズは、内部のレンズ(G9)にクモリが生じているものが多い。このクモリは、レンズを分解清掃してもとれない場合が多い。
・ フレアが生じやすく、逆光時に限らず、画面中に明暗差がある場面で、画面全体が低コントラストに写ることがしばしばある。撮影後にコントラスト調整が必要になる。
このレンズは、どのズーム域でも、f3.5の明るさから確実に撮ることができるレンズ。
人物のスナップ撮影など、ズーム範囲が狭くても構わない被写体の場合、非常に便利である。
また、少し絞れば細密な描写をするので風景写真にも向いている。
ただしドラマチックな光線の場面で役に立たない時がある。
【スペック】 ※Dタイプ
レンズ構成: 12群15枚 (EDレンズ0枚、非球面レンズ0枚)
最小絞り: 22
最短撮影距離: 0.6m(0.28m:35mmマクロ時)
フィルターサイズ: 62mm
最大径×全長: 71.5mm×94.5mm
重量: 665g
フード: HB-1(別売)
希望小売価格(税別): ¥105,000 ※終売時点
作例1 焦点距離52mm、絞りf3.5
作例2 焦点距離58mm、絞りf8
作例3 焦点距離35mm、絞りf3.5
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